公開日/2021.3.15 最終更新日/2021.05.10
インタビュー

メーカー側のサポートには限界がある。ローランドが重要視するコミュニティとロイヤルカスタマー

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「顧客との関係性構築」──。サブスクリプションサービスが一般化した今、企業の重要な経営課題です。年々と複雑化するカスタマーサポートの中で、ロイヤルカスタマーの育成までを実現するには、どのような取り組みが有効でしょうか?

「コミュニティがあることで、製品を“使いこなす”うえでの細かい疑問を自己解決できる。その結果として、ロイヤルカスタマーへと近づいていく。」

そう話すのは、ローランド株式会社の長谷川孝さま。海外グローバルサポートチームと日本のユーザーサポート窓口の連携をご担当されています。

0次対応のWebサポートチャネルとなる「サポートコミュニティ」を導入・活用し、サポート業務を効率化するだけでなくロイヤルカスタマーの育成も実現している同社に、ユーザーコミュニティを活用したカスタマーサポートの取り組みを伺いました。

【会社情報】
ローランド株式会社 :
1972年に創業し、スタジオやライブ向けのプロ用からエントリーユーザー向けまで、多種多様な楽器ジャンルの製品を展開する総合電子楽器メーカー。

【スピーカー情報】
長谷川 孝 (はせがわ・たかし) さま
ローランド株式会社
営業推進部 ダイレクトマーケティンググループ
※2020年12月までの所属部署名は「カスタマーセンター カスタマーコミュニケーショングループ」。

「使われ方」が無数に存在する、楽器メーカーのカスタマーサポート

ローランド社 長谷川さまの画像_1

私は新卒でローランドへ入社後、開発部門で10年ほど経験を積んだ後にカスタマーサポート部門へ異動しました。16年ほどサポート関連業務に従事し、電話やメール、Webのお客様窓口はもちろんのこと、Webサポートのメンテナンス等も含めて、顧客接点となるサポート業務を一通り経験しています。

楽器メーカーのカスタマーサポートは、一般的な他メーカーのサポートとは毛色が少し異なる部分があります。具体的には、以下の2点です。

(1) 製品価値を感じてもらうためのサポート

1点目は、製品を使って生み出す音楽の価値をどう感じてもらうかです。

ローランドが提供している電子楽器や楽器関連製品の価値は、製品そのものではなく、製品を使って生み出す音楽にあります。

カスタマーサポートでは、お客様に製品機能を正しく理解いただくことに加え、利用する環境や併用する機材との関係性も考える必要があります。

この点、炊飯器や白物家電などのカスタマーサポートの場合、機能や使い方がシンプルに洗練されているものが多いため、「どのようにして使いこなしてもらうか」等までを考えるケースは多くないように思います。

加えて、音楽は個々人の感性に依存するため、音色等の話で共通認識を持つことが難しいケースもあります。

(2) 多様な専門知識が求められる

2点目は、一定の専門知識が求められることです。

ローランドではコンピューターミュージック製品や電子楽器製品、さらに詳しく分類するとシンセサイザーや電子ドラム、ギター/ベースのエフェクターなど多種多様な製品が存在しています。

そのため、お問い合わせ対応で求められる知識も非常に幅広くなります。サポートスタッフにも得意と不得意の分野がありますし、知識の差を埋めるサポート向け公式ガイドも当然に用意はしていますが、すべてのお問い合わせに十分な対応ができるかといえば必ずしもそうではありません。

こうした、「使われ方」が無数に存在する製品・サービスの場合、メーカー側で伝えられる情報には限界があると考えています。

ロイヤルカスタマー醸成のヒントは“コミュニティ”

業界・製品の特性もあり、ローランドのカスタマーサポートは、コミュニティを活用した2段階で成り立っていると捉えています。

(1) 2段階のカスタマーサポートで、顧客に“使いこなしてもらう”

2段階のカスタマーサポートは、

■第1段階: 製品の機能や基本的な使い方を理解していただく
■第2段階: ユーザー様同士のナレッジ共有を通して、製品を使いこなしてもらう

と言い表せると思います。

第1段階目は、一般的にイメージされるカスタマーサポートです。
そして肝となるのは第2段階目の「使いこなしてもらうためのサポート」です。

楽器という製品の性質上、「使える(=音が出せる)」ことそれ自体で価値を提供できるものではありません。製品の基本機能を問題なく使えることは当然として、他社製品との接続・併用等もしながら製品を使いこなし、自身で望む音を出せることではじめて価値を感じていただけます。

ただ他社様の製品が絡んでくる場合、メーカーの我々では、お問い合わせ対応時に回答できる内容にどうしても制約があり、根本原因が分かりかねるため解決しきれないことが多々あります。

そのため、他社製品との併用も含めて自社製品を使いこなしてもらうためには、ユーザー様同士のコミュニティを提供することが有効だと考えました。

(2) 「メーカーでは回答しきれない質問」を救う、サポートコミュニティ

ローランド社のサポートコミュニティ画像

ローランドでは、“使いこなしてもらうため(第2段階目)のサポート”の一つとして、ユーザー様同士でQ&Aのやりとりが可能な「サポートコミュニティ」を活用しています。

ユーザー様同士で、メーカーを横断した質問への回答や、確実性の高くない解決方法の提案も気軽にやりとりいただけます。また、コミュニティ内の回答はメーカーからの回答ではないので、質問をしたユーザー様側でも気持ち半分で内容を受け取ることができるでしょう。

ユーザー様同士で気軽に質問・回答をし合えるコミュニティがあることで、製品を“使いこなす”うえでの細かい疑問を自己解決していきます。結果として、ロイヤルカスタマーへと近づいていくのだと思います。

実際のところ、私自身も高校2年生の頃からローランド製品のファンの一人ですが、その醸成の過程を振り返ると、大学時代にパソコン通信のサイトで交流していた他ユーザーとのコミュニティが大きな意味を持っていたと感じます。

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コミュニティでの貢献ユーザー様へは感謝をお伝えする

「OKBIZ. CS Answers Award」のロゴ画像

ローランドでは、顧客・ユーザーに“感謝”を伝えることを通じて関係性の構築を図る機会として、オウケイウェイヴが毎年実施する『OKBIZ. CS Answers Award』へ賛同しています。サポートコミュニティ内で、他ユーザー様からの質問に日々ご回答いただいている個人ユーザー様を表彰し、感謝の意をお伝えしています。

表彰させていただいている個人ユーザー様は、つまるところローランドにとってのロイヤルカスタマーといえると思います。ローランド製品の機能を熟知し、使いこなしていただいているだけでなく、我々カスタマーサポートと同じように、他ユーザー様からの質問に対して積極的に回答をしてくださっているのです。

そして、昨年の『OKBIZ. CS Answers Award 2020』で選考・表彰させていただいた個人ユーザー様は、我々サポートスタッフが感心するほどの回答を数多くされていらっしゃいました。

『OKBIZ. CS Answers Award 2020』受賞ユーザー様の回答文キャプチャ

「OKBIZ. CS Answers Award 2020」での選考・受賞コメント画像

カスタマーサポート業務に従事されている方々には共感いただけるかと思いますが、的確な質問をできる人は多くありません。そのため我々カスタマーサポートでは、お問い合わせ・質問の背後にある意図や目的、相手が何に困っているのかを想像しながら引き出すことが必要になります。

その点、『OKBIZ. CS Answers Award 2020』で表彰させていただいた個人ユーザー様は、我々とほぼ同等に他ユーザー様からの質問に真摯に向き合っていただいており、「何とかしてあげたい」というお気持ちが滲み出ているように感じました。

ロイヤルカスタマーへの贈呈品の画像

そして、ロイヤルカスタマーでもある当ユーザー様へは、感謝の意を伝える意味でローランド製品を贈呈しました。

すこし余談になるのですが、実は受賞ユーザー様が希望される商品は当初の贈呈品リストにはなく、ユーザー様は贈呈を一度辞退されるご意向でした。ただ、その旨を知った我々は、ユーザー様が希望されていたローランド製品(61鍵MIDIキーボードコントローラー「A-800PRO」)を贈呈させていただくことにしました。

その後、受賞ユーザー様からは「とことん使おうと思います。とても嬉しいです!」とのお言葉を頂きました。

今回のような一連の話は、間違いなく顧客・ユーザー様との関係性構築に寄与していると思っていますし、こうしたお客様がロイヤルカスタマーといえるのであろうと強く実感します。

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顧客・ユーザーが発信する情報にこそ、価値がある

ローランド社 長谷川さまの画像_2

2段階のカスタマーサポートという点では、メーカーで回答・発信できる情報には限界があり、顧客・ユーザー様が発信するナレッジ・情報にこそ価値があると考えています。

ローランドでは、サポートコミュニティだけにとどまらず、各種SNSやYouTubeなどユーザー様同士で情報共有・展開いただけるコミュニティの活用と、ロイヤルカスタマーの方々の存在を今後より重要視していくことになると思います。

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この記事の執筆者

OKBIZ.ブログ編集部

OKBIZ.ブログ編集部

OKBIZ.ブログ編集部です。​ サポート部門や総務・情シス部門の方々向けに、 サポートに関する最新トレンドや役立つ知識、楽しく読めるコラムなどの情報をお届けします!

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