公開日/2021.8.12 最終更新日/2021.08.12
ケース

呼量削減にまず必要なのは、社内の共通ナレッジ。何万件ものログデータ分析で見えたもの【事例:三井住友カード様】

アイキャッチ画像_三井住友カード

今日、生活者はスマートフォン一つで、電話やブラウザ検索、メール問い合わせ、チャットでの質問投稿など、あらゆるチャネルから情報を求めることができるようになりました。一方で企業側はというと、チャネルが増えるほど担当者あるいは担当部門が多くなり、ナレッジの管理が複雑化しています。
実際のところ、数多くの顧客と従業員を抱える企業では、どのようにナレッジを管理しているのでしょうか?

「ナレッジを一元管理することで呼量はもっと削減できる、お客様に自己解決していただける」

そう話すのは、三井住友カードの鵜飼 香織 氏。
同社のカスタマーサポートにおけるデジタル化と効率化を企画する部署にて、グループ長を務められています。

社内で点在していたというカスタマーサポートに係るナレッジの一元管理について、同社 オペレーションサービス統括部の皆さんにお話を伺いました。

<スピーカー情報>
三井住友カード株式会社 
オペレーションサービス統括部

鵜飼 香織 氏 (グループ長)
小野 友也 氏 (部長代理)
森本 麻里 氏
根上 かおり 氏
鶴田 江里奈 氏

お客様向け・オペレーター向けのナレッジを、10名で管理運用

小野:
弊社は、クレジットカード会社として、1967年の設立以来、日本におけるVisaのパイオニアとしてサービスを展開してきました。
現在は、デビットカードやプリペイドカードなど、ユーザーさまのライフスタイルに合わせた様々なキャッシュレスサービスの提供や、加盟店向けのキャッシュレス決済推進事業に取り組んでいます。

その中で私たちのチームは、カスタマーサポートの一環としてナレッジの管理も担っていまして、
ナレッジの所管範囲としては、お客様向けのFAQコンテンツ社内オペレーター向けのマニュアルなどが対象となります。

鵜飼:
現在は10名のメンバーで、お客様向け・オペレーター向けそれぞれのナレッジを管理運用しています。ホームページ上に公開しているお客様向けのFAQやチャットボットといったアウターナレッジの担当が5名、オペレーター向けマニュアル等のインナーナレッジの担当が5名、という構成です。

また、私たちのチームとは別に、コールセンターの現場側でもナレッジの整備担当者やFAQコンテンツの作成担当者がいます。

ナレッジが分断…。情報の鮮度や粒度も違っていた

鵜飼:
大所帯の組織ではよくある話だと思うのですが、弊社では担当チームごとにナレッジが分断されていて、一元管理できていない状況がありました。

ホームページ上のお客様向けFAQ、オペレーター向けのマニュアル、コールセンター現場での各種ナレッジコンテンツと、それぞれで個別に更新をかけたり新規作成をしていたことが背景としてあります。
アクセスログの分析からFAQは月次で最新化しても、オペレーター向けマニュアルやチャットボットとシームレスに連動する仕組みがなく、一元管理をしてナレッジの鮮度や粒度を合わせることは課題でした。

森本:
現在、FAQはすべて含めると1,200件ほどあり、各種サービスに関する基本的な情報は揃っているのですが、社内でのナレッジを一元化してズレを解消することができれば、FAQによる自己解決をもっと増やすことができると思いました。

私たちが月次でおこなっているFAQコンテンツの見直しやキーワード対策といった活動は、アクセスログから読み取れる情報をベースに作業しています。ただ一方で、電話お問い合わせ頂いているご用件(コールリーズン)については、全量の把握が難しく反映できていないものもありました。

鵜飼:
実際に、ホームページを訪れてくださった後に電話でお問い合わせを頂くお客様もおられます。 そうした事実を鑑みて、ナレッジを一元管理することで呼量はもっと削減できる、お客様に自己解決していただける、と考えました。

3ヶ月間で、何万件ものログデータ分析とリライト

鵜飼:
ナレッジの整備・一元管理は、工数や期間の関係でこれまで手を付けられずにいました。
そこで、FAQを通したナレッジマネジメントで実績が豊富な当時のオウケイウェイヴ、現在の PRAZNA(ナレッジマネジメントソリューション「OKBIZ.」の開発・提供会社)へ相談することにしました。

プロジェクトは3ヶ月という短期間でしたが、コールセンター側で蓄積されているお客様からの入電・会話履歴やメールなど、何万件という膨大なログデータを分析してもらいました。

また、カスタマージャーニーを軸に、それぞれのナレッジ項目を顧客目線でリライトいただき、共通ナレッジとしてFAQコンテンツを再構築することができました。

根上:
コールセンター現場での受電経験が少ない私にとっては、FAQ化されるようなお問い合わせの多いコールリーズンはおおよそ把握していたものの、件数が少ないお問い合わせについてはこれまで知る機会がありませんでした。
そのため、実データの分析結果を通して、お客様のお困りごと・情報ニーズを確認することができたので良い経験になったと思います。

また、私のようにコールセンター受電経験が少ない従業員にとっても活用価値が高い分析データだと感じています。

再構築・一元化したナレッジを、各チャネルで展開

鵜飼:
再構築いただき一元化した共通ナレッジは、各サポートチャネルで展開を始めています。

根上:
再構築した共通ナレッジの中から、20件ほどをFAQとしてホームページに公開したところ、さっそく多くアクセスされるコンテンツも出てきており、分析の効果を感じています。

引き続き、共通ナレッジとして、FAQコンテンツの追加や改善を進めていこうと思います。

小野:
私の方では、分析の際に活用したカスタマージャーニーを軸に、各プロセスでお客様が見つけやすく、かつ自己解決できるようなコンテンツの設計を着手しています。
具体的には、まず再構築したFAQコンテンツを活用して、お客様向けの手続きページへチャットボットを新たに公開しました。また続けて、サポートページのトップや総合案内窓口のページにもAIチャットボット設置すべく検討を進めています。

鶴田:
私は、コールセンター向けのデジタルマニュアルの作成と管理を担当しており今回インナー向けにAIナレッジ検索システムの構築も行っています。お客様の問い合わせではいろいろな切り口や言い回しがありますが、そのバリエーションを組み込むために今回共通ナレッジで抽出されたFAQをシナリオとして活用しました。今後もAIナレッジシステムの学習向上に役立てたいと考えています。

共通ナレッジをもとに、2つの柱で自己解決を

鵜飼:
従来は各チームの業務が非同期でナレッジも分断されてしまっていましたが、一元化した共通ナレッジを構築できたことでアウターナレッジ/インナーナレッジともに連動して最適なFAQコンテンツを掲示するベースができました。

今後は、お客様のお困りごとに24時間対応できるチャネルとしてWebだけでなく、電話での無人チャネルとして自動音声応答なども利用していきたいと考えています。社内での柱の1つがチャットボットやFAQといったWebでの解決ツール、もう1つの柱が自動応答という2本柱で無人チャネルを充実させ、お客様の困りごとをお客様の選択するチャネルできちんと解決していただける構成にするにはどうしたらいいのかということを追求し、共通ナレッジを活用しながら実現していきたいと考えています。

この記事の執筆者

OKBIZ.ブログ編集部

OKBIZ.ブログ編集部

「ナレッジアセットマネジメント(KAM)~ステークホルダーにストレスを与えない仕組みづくり~」という考え方のもと、組織内での働き方や風土・カルチャー醸成の土台となる各種システム・ツールについて、お役立ていただける情報をお届けしていきます。

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